中小企業診断士の診断実習について

中小企業診断士の診断実習について、僕が城西国際大学大学院の養成課程で経験した、5回の診断実習を元にまとめます。

診断実習の目的

診断実習とは、企業の将来のあるべき姿を描き、企業があるべき姿に到達するための道すじや、アクションを示すものと考えます。

実習のマイルストン

上記「目的を達成するための期限のある業務」という意味では、診断実習はプロジェクトであると言えます。そのために、おおよそ以下のマイルストンを引き、逆算で進行していました。

  • 1.社長ヒアリング
  • 2.幹部ヒアリング
  • 3.企業調査(従業員意識調査、顧客満足度調査など)
  • 4.社長ヒアリング2回目
  • 5.報告の方向性の決定、説明
  • 6.報告・発表

診断先企業や、スケジュールの都合などによっては、順番が前後したり、ない項目もあるかもしれません。
ここでは、上記マイルストンごとに説明します。

1.社長ヒアリング

社長ヒアリングは、社長に経営課題や診断に望むことや、我々からの疑問点を聞く場です。

まず実習で行うことは、この社長ヒアリングのヒアリング項目を決定させることです。ヒアリング項目を決定するためには、企業から提供される内部データや、自分たちで収集する外部データから、企業を分析する必要があります。分析はチームで分担します。分析結果を持ち寄り、チームでまとめます。我々はクロスSWOTをよく使っていました。

この段階では時間がないことも多いですが、財務諸表を含めて、提供される内部データすべてを分析しておくと、今後の診断がスムーズに進みます。

分析を行うことで、社長に聞きたいことが見えてきます。

2.幹部ヒアリング

社長以外にも、部長や店長など、幹部のヒアリングを行うことも強くおすすめします。ここで、社長ヒアリングの内容で疑問に思ったことや、再確認したいことを聞きます。幹部は社長よりも現場に近いため、視点や悩みが社長とは異なることが多いです。

3.企業調査(従業員意識調査。顧客満足度調査など)

社長ヒアリング、幹部ヒアリングのあとは一次データの収集を行います。中でも、従業員意識調査は必ず行うことをおすすめします。我々は、毎回行っていました。従業員が会社にどのような思いを抱いているかについては、社長含め経営者全員が気になるところです。診断報告の方向性を決めるのにも、具体的な指標となります。

従業員意識調査以外は、小売業であれば、顧客満足度調査(店頭アンケート)がおすすめです。企業を利用しているお客さんの生の声はとても参考になります。

4.社長ヒアリング2回目

この段階になると、企業に対する理解が深まっています。一回目の社長ヒアリングで聞けなかったことや、追加で湧いてきた疑問点を聞きます。

5.報告の方向性の決定、説明

ここまでくれば、分析材料がほぼ出そろいます。あとは、出てきた材料をどう調理するかですが、ここがもっとも時間のかかるポイントです。我々の場合は、企業のあるべき姿について、短いキーワードにして掲げていました。このキーワードを決めるのに、メンバーで議論を重ねることが多かったです。キーワードとともに、あるべき姿に到達するための具体的な施策を上げ、財務、顧客、業務プロセス、学習と成長のバランスト・スコアカードの4つの観点に落とし込みます。バランスト・スコアカードについては、2回目の診断実習以降ずっと使っていました。SWOT分析とともに、診断実習で役に立つフレームワークといえます。

キーワードや具体的な施策を決めたら「我々はこのような方向性で最終発表を行いますと」企業に事前アナウンスを行います。方向性に問題がなければ、分担して診断報告書を執筆します。

6.報告・発表

当日は企業の環境にもよりますが、スライドを用いてプレゼンテーションを行うのが良いと思います。

発表の出席者は企業によって様々です。我々の場合、社長一人の時もあれば、役員全員に向けて、また、社長の参加している勉強会の社長仲間も集まってホールでプレゼンしたこともありました。今までの苦労が報われるときです。

僕が班長を務めた最後の診断実習では、診断先企業の社長から、ある大手コンサル会社よりも参考になったと言ってもらえました。理由としては、大手よりも自社のことをよく研究して、自社に合った提案を行ったからということでした。班長は大変でしたが、この言葉をもらったときは、やって良かったと思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です